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SHONAN BEACH FM -NAGAMURA KOYO 長村光洋

湘南カチート 水曜23時 JUKEBOX 金曜17時 N盤アワー 月曜23時 のブログです。
銀座の地下の人間国宝

ブランドショップや煌びやかなネオンサインが眩しい銀座の街の一角に、時代に取り残された古い街並み、路地が今も存在する。ジャズクラブ「ブルース」はその中でも一際レトロなビルの細い階段を下った地下2階にある。ここの主は67歳になるジャズマン・森 守さんで、彼はビッグバンド全盛期、スィング・ビーバーズ、宮間利之とニューハード・オーケストラでテナーサックスを吹き鳴らしていた昭和日本音楽界の王道を歩いた男だ。オーケストラやビックバンドの演奏で歌う歌謡曲が流行だったころ頃、お客さんはステージの花である大きなバンドに拍手を送った。バンドを大きく見せる為に演奏しない者まで雇って立たせたこともあったそうだ。その後、歌謡曲の衰退と共に、大所帯は金がかかるという理由でバンドはクァルテットやクインテットが主流になった。
10人も入れば満席になるようなバーで彼は孤軍奮闘、天下の宝刀テナーサックスを片手に連夜ブルースを演奏してきた。客は僕一人ということもあったが、彼はいつもジャケットを着て背筋をぴんと伸ばしてサックスを吹いた。僕が華やいだ銀座とは正反対の「ブルース」を訪れたのは正直な話、一種の回顧趣味と怖いもの見たさの好奇心からだ。しかし、そんな趣味にどっぷりと浸かって夜な夜な酒を飲んでいると、実はそれが紛れもない現実の連続であったことに気づかされる。おせっかいな話だが、この老ジャズプレイヤーの行く末が少し気にかかるようになったのは事実である。( 「老」 と書いてしまった。これを読まれたら出入り禁止だ、、、。)
ところが今年になって、一気に形勢がが逆転した。突然、森さんに大きな仕事が来たのである。一つは立川直樹氏がプロデュースした中野サンプラザの昭和ムード歌謡コンサートへの主演依頼、そして八代亜紀さんのテレビ公開用ジャズライヴの伴奏に森 守クインテットが御使命を受けたのである。このステージでテナーを吹くのは彼以外考えられなかったそうだ。当日は店の常連客も応援に駆け付けた。タキシードを着て舞台で八代さんと並ぶ男は、銀座の地下の人間国宝 「ブルースの森 守」 だ。歌もそして衰えを感じさせない演奏も大したものだが、何よりも目頭が熱くなり、涙を堪えるのが大変だった。森 ムーディ 守さんにもういちど花を、、。
by koyonagamura | 2012-03-17 11:24 | ビーチFM今日の日記2012~
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