IGGY POP
イギ―・ポップという人はステージでは荒れ狂っているが、例えば一昨年フジで魅せたパフォーマンスではステージに誘導した観客が思いのほか多くなって収拾がつかないと思いきや、冷静になってエキサイトした聴衆をなだめていたり、インタヴィューを読むと意外とコンテンポラリーなアート感覚をお持ちだったり、暴飲暴食したら、あの鍛え上げた体の線も崩れるだろうし、意外とセルフ・コントロールの出来る人なんだと思っている。 同時に、やはりフジではステージから落ちて体を打っていたし、本当は元来、凄くヤバい人間で、それでも今日まで彼が生きていられたのは冷静な自己分析のおかげなのだろうと思った。一線を超える寸前に我に返ったり、事故が起きても致命的にならないラッキーな星を持っている人でもある。このアルバムは年齢に対して自分を客観的に眺めた、一般的な考え方でいえば分相応の内容になっていて、今回は「死」がテーマだ。超人的エネルギーと肉体を持つ、前人未到のワイルドなロックンローラーは、実は一番「死」に近いところを彷徨い歩いてきた男だ。アルバム制作のきっかけになったのはミシェル・ウェルべックのドキュメンタリーフィルムの依頼を受け、彼の小説「ある島の可能性」を読んだことに始まったそうだ。僕はイギ―の大ファンでカラオケ・ロックンロール大会のトリはいつも「LUST FOR LIFE 」でしめる。まあ、そんな僕に出来ることと言えば、今夏は海へ行って、この「ある島の可能性」を読んでみることにしよう。そんなことを考えていると、自分はIGGYの大ファンなんだということを改めて実感する。
by koyonagamura
| 2009-06-12 07:41
| 09年CD (A~I)